第5回 海洋セミナー大月開催のお知らせ

*テーマ:海の中の懲りない面々
  〜口の中で卵を守るテンジクダイ類(ハリメ・ゲンナイ)の社会〜
*日 時:7月17日(土)午後7:00〜9:00
*場 所:柏島公民館
*講 師:日本学術振興会特別研究員 奥田 昇 氏
*主 催:黒潮実感センター設立準備委員会
*協 賛:大月町・富士ゼロックス
*参加費:無 料
*問い合わせ:黒潮実感センター設立準備委員会 事務局
 電話(0880)76-0026/62-8022 神田(カンダ)まで

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「海の中の懲りない面々  〜口の中で卵を守るテンジクダイ類の社会〜」
  日本学術振興会特別研究員   奥田 昇 氏 

-講演要旨- 
 人間が様々な社会を形成するのと同様に、すべての生き物には 固有の社会が存在する。人間の社会が法律やしきたりといった ルールによって統制されているのに対して、野生生物の社会に そのようなルールはない。かれらは「他個体よりも多くの子孫を残す」 という基本原則に従って、行動しているのである。
 今回、紹介するテンジクダイ類は大月町の周辺にも数多く生息し、「ハリメ」「イシモチ」などの俗称で釣り人にもなじみ深く、 南予地方では郷土料理「じゃこ天」の主原料として知られている。 この魚の興味深い特徴は親が口内で卵を保護するという習性を 持っていることだ。しかも、育児を担当するのは雌ではなくて 雄なのである。このような繁殖習性を持つが故に、かれらの社会は 他の生物とは一風変わっている。
 多くの動物では、雄同士が雌の獲得をめぐって激しく争うのに対し、この魚では雌の方が雄に対して積極的にアプローチを試みる。 雌にとってみれば、雄は育児の大部分を請け負ってくれる貴重な繁殖資源 なのかもしれない。実際に、雄は雌から受け取った卵塊を飲まず食わずで 口内保育し続ける。繁殖シーズンの終わりともなると、雄はすかっり 痩せこけてしまい見るも哀れな姿になる。私たちから見ると、雄は なんとも甲斐甲斐しく映る。ところがどっこい、雄は雄で雌の目を 盗んでちゃっかりこの卵塊を食べているのである。
 さて、いったい彼らは、何故このような行動をとるのだろう? 
私たちには想像もつかない彼らの奇妙なふるまい、そして彼らの社会を 科学の目を通して探りたい。

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釣り人、ダイバー、関心のある多数の方のご来場をお待ちしています。