自然を生かして柏島を博物館に
シンポに300人参加
(「朝日新聞」6月11日掲載)

 環境保全や地域おこしなどをテーマにした「柏島シンポジウム」が十日、大月町柏島の町立柏島中学校体育館で、県内外から約三百人が参加して開かれた。豊かな自然を生かしながら、島全体を「博物館」として活用し、地域を活性化する方法などについて、関係者が意見を交わした。
 池田誠・東洋大教授が司会を務め、パネリストとして、林公義・横須賀自然・人文博物館副館長//橋本大二郎知事//立川涼・愛媛県環境創造センター所長(前高知大学長)//神田優・黒潮実感センター設立準備委員会事務局長の四人が話し合った。
 橋本知事は「高知市から車で約四時間。この不便さが大月町に柏島という宝物を残した。四万十川の保全条例を制定するのと同様に、島民の生の声を生かした島利用のルールづくりが不可欠」と話した。
 立川所長は、環境ホルモンの研究者の立場から、「地球汚染の防止策は廃棄物を減らすことだ。柏島にとっても、十年、二十年先の島を想定し、みんなで考えていくことが大切」と述べた。
 神田事務局長は、島内に設立する黒潮実感センターの構想について「地域振興の一翼を担い、環境保全の拠点にしたい」と説明した。
 シンポに先立って基調講演した林副館長は「柏島の自然は貯金通帳を持っているのと同じこと。周囲にはサンゴとゆう利息もついている。どう運用していくか、みんなで考えてほしい」と話した。

橋本知事(左から二人目)や神田事務局長(右端)らが参加して開かれた柏島シンポジウムのパネルディスカッション=大月町柏島で