柏島の海素晴らしい財産
林公義(横須賀市自然・人文博物館)副館長 講演要旨
(「高知新聞」6月12日掲載)

 柏島中学校で十日に行われた林公義横須賀市自然・人文博物館副館長の基調講演要旨は次の通り。

 博物館の使命には、
1:展示して観客に見せる
2:本物の品を集めてくる
3:収集したものを大事に保管する
4:価値付けするための研究を行う
――の四つの大きな柱がある。
 多くの人は、展示して見せることが博物館の仕事のほとんどだと考えがちだが、これらのことが一つ欠けても仕事が成り立たない事を知ってほしいし、博物館側も努力しなければならない。博物館を訪ねるとさまざまな疑問が解決できる。そんな便利な施設であるように地域との対話が求められている。しかし、日本の博物館の歴史はまだ百年ほど。各地に箱物的な博物館ができても、なかなか生かされていない。
 近年いわれている「自然博物館」の長所は、自然そのものがその場所でそのまま生きていること。もちろん、これを守ることが「自然博物館」には求められるわけだ。
 皆さんが住んでいる柏島の海は素晴らしい財産だ。この財産は海だけでなく、この島の緑と地形が長い歴史の中ではぐくんできた。そういった意味でも、町や自然環境そのものが博物館だね。黒潮実感センターという拠点が完成しても、それをどう運営するかはみなさんの意識にかかっている。
 一人ひとりがこの自然博物館の学芸員として役割を果たし、「里海」の環境保全ができる島にしてほしいと思う。

基調講演を行う林公義横須賀市自然・人文博物館副館長 「地元の人が学芸員に」