●「柏島学」確立へ 高知大など調査(10月18日朝日新聞高知版掲載) 

10月18日の朝日新聞(高知版)に、現在、黒潮実感センターと高知大学の研究者が共同研究をしている柏島プロジェクトのことが大きく掲載されていましたので、下記に記します。また記事の全文は下記のURLで提供されています。なお,このURLはいつまでも有効とは限らないように思いますので,読まれる方はお早めにお願いします。

http://mytown.asahi.com/kochi/news02.asp?kiji=367

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●「柏島学」確立へ 高知大など調査

 「島をまるごと自然博物館に」という構想が進む大月町の柏島を舞台に、環境法制や観光振興、海洋生物の生態について、高知大の若手研究者らのグループが、法学、経済学、生物学の領域から多面的に研究するプロジェクトに取り組んでいる。研究者たちは現地調査を重ね、豊かな自然環境に恵まれた島が持つ経済的価値を算出するとともに、環境を守るための条例案づくりなども検討中だ。「柏島学」と銘打ち、来春には高知大で講義を始めたいとしている。

 周囲約四キロ、人口約六百人の柏島は、沿岸漁業で栄えたが、高齢化と過疎化が進む。一方、周辺の海には、日本有数のサンゴ礁が広がり、黒潮の影響で熱帯魚も多いことから、ダイバーや釣り客ら年間約三万人が訪れる。「博物館構想」は、こうした自然条件などを生かし、島全体を体験型のミュージアムにしようと、地元住民や大学の研究者らでつくる黒潮実感センター設立委員会が具体化を図っている。

 そんな島をテーマに「柏島学」の確立を目指すプロジェクト名は「柏島水域における海中生物の生物多様性の保全と活用――地域振興の視点から」。文部省の科学研究費助成を受け、高知大や神奈川大、東京水産大から参加した約十人が、それぞれの専門分野ごとに研究を続けている。

 高知大人文学部講師の三浦大介さん(三三)〓行政法〓は九月末、柴岡邦男・大月町長から、環境保護に関する基本方針を黒潮実感センター設立委と作成するよう依頼された。

 近年、島を訪れる観光客が増えるに連れ、地元住民とのトラブルや、ごみ、騒音などの問題が発生。こうした状況に対し、豊かな環境を守り、島民と観光客がともに快適に過ごせるようなルールづくりが求められている。これまで海砂利採取などの問題に取り組んできた三浦さんは「河川の保護条例などはあるが、島全体の環境保全のための法整備は、ほかに例がない」と方針作りに知恵をしぼる。

 高知大人文学部助教授の友野哲彦さん(三四)〓環境経済学〓は、町役場などの資料に目を通し、漁業や観光の関係者から聞き取り調査を進める。友野さんは「島の漁業は高齢化と後継者不足が進んでいるが、漁獲高では衰退しているわけではない」と見て、「レジャー産業が漁業に取って代わるのではなく、いかにして共存していくかが課題」と指摘する。このほかの研究者は、ダイビングによる魚やサンゴなどの生態調査などに取り組む。

 プロジェクト班は、今回の研究成果をもとに、研究者が交代で講師を務め、リレー形式の講義も開く計画だ。三浦さんは「大学が地域に貢献できるかが問われている」と話している。

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