〜21世紀に向けて:ダイビング事業組合のこれまでの経緯とこれからの課題〜

 今年4月に旧大月スクーバダイビング事業組合が発展的解散をし管理運営委員会を発足させた中で、行政と黒潮実感センターがアドバイザーとして加わり、新たな組織編成に向けて協議を進めてきました。当初、7月に立ち上げる予定であった組合ですが、様々な問題のため難航し、数十回にのぼる会議を行ってきました。会議での話し合いの結果についてはそのたびごとに文書にし、組合加盟予定者に配布してきました。

 その甲斐あってようやく組合設立にこぎ着けたわけですが、解決すべき課題はまだ山ほど残っています。それらの課題は新しく作った組合内の3つの部会(事業部・財産管理部・環境保全部)ごとに協議され解決されると思います。
 今回の組合は環境保全に重点をおくことで、地域の自然を守りながら活用していくことにつながると思いますし、黒潮実感センターはそれを期待したいと思います。

 柏島を訪れる多くのダイバーが気持ちよく潜るためには、地元との良い関係が必要不可欠です。そう言った意味でも漁業者を中心とする地元住民の生活にも配慮し、かつ最も大切なことは柏島の類い希なる貴重な海の環境をダイバー自らが積極的に保護保全していく必要があるということです。
 柏島の海が生き物たちにとっていつまでも住み易い環境でありつづけるためにも、我々ダイバーには柏島の海を一時のブームで終わらせるのではなく、持続可能な海とのつきあい方が求められていると思います。

 柏島の魅力は自然環境のすばらしさだけではなく、そこに住んでいる人と自然との関わり方にあると思います。人と自然、漁業者とダイバーが共存できる島づくりを目指す中で、黒潮実感センター設立委員会は島を丸ごと自然の博物館にするというフィールド・ミュージアム構想のもと、柏島周辺の海を「里海(さとうみ)」ととらえ、環境保全と持続可能な島おこしにもつなげていきたいと考えています。当委員会では環境保全と学術研究・教育の重要性を訴えていく、そんなセンターを目指していきます。