漁協と共存共栄へ
ダイビング関係者ら中旬に事業組合設立
大月 話し合いの窓口に

(読売新聞2000年12月1日掲載)

 スキューバダイビングの盛んな大月町で、ダイビング関係者らが集まり12月中旬に事業組合を発足させる。これまで同町では、ダイバーと漁業者とのトラブルが相次ぎ、話し合いの“窓口”がない状態が続いていたが、ダイバー側は組合発足を機に、水面利用のルール作りを進め、共存共栄を図りたい方針。29日夜には同町柏島で、組合加入を予定する約30人が集まり、最終調整を行った。
 同町では現在、ダイビングショップが16店あり、5年前から約3倍に増加。今後も新たに2店がオープン予定で、活性化への有力な観光産業として成長している。
 一方で、ダイバーが漁協の設置した漁礁に潜り、漁の妨げとなるなど「漁場が荒らされる」などとする漁協側とのトラブルが後を絶たなかったことから、1995年1月にはショップや渡船業者らが事業組合を発足させ、ルール作りを進めようとしたが、約束を破るダイバーがいるなど、話し合いは決裂。
97年3月には組合改組を行い、再交渉する動きも見られたが、結局、両者の溝は埋まらないまま組合は解散。96年から今年3月まで両者の間で、正式な話し合いは一度も行われなかった。
 しかしダイバー人口の急激な増加を背景に、双方の関係者から海の利用に関するルール作りを求める声が相次ぎ、今年3月、旧組合の解散と同時に、新たな組織作りを進める8人の管理運営委員がショップ関係者らから選ばれ、準備を開始。今回は町と大学関係者が仲介役として、漁協との調整を図ってきた。
 29日の会合では、新組織の事業方針などについて協議。組合の目的を「スキューバダイビング業従事者の生活向上と地域住民の生活、環境面の保全」とする規約などについて合意し、12月中旬に総会を開くことになった。
 調整を進めてきた同町総務政策課の中平定男・地域振興係長は「今後は海面利用に関する漁協との協定作りやダイバーによる環境保全活動などを進めていくことになる」と説明。会合に来賓として参加した同町柏島漁協組合の亀尾猶蔵組合長は「海を生業にしている私たちにとって、漁場の提供には慎重な態度を取らざるを得ないが、事業組合が漁協との話し合いの窓口になれば、お互い仲良くやっていくための約束事をいろいろと決めていきたい」と話していた。