第3回「朝日海とのふれあい賞」発表
(月刊『Diver』2001年2月号 コラム「日本大漁新聞」掲載)

 海や渚を大切にする心を育み、後世にきれいな海を引き継ぐ活動に取り組んでいる人たちを顕彰する、朝日新聞社主催「第3回朝日海とのふれあい賞」の受賞者が決まった。

「海への貢献部門」の正賞は小笠原自然観察指導員連絡会、準賞は高知県・柏島の黒潮実感センター設立委員会と北九州市立曽根東小学校が受賞。「マイカル海大好き部門」では10の団体、個人が選ばれた。

準賞 黒潮実感センター設立委員会
 最近、人気急上昇のDスポットである高知県・柏島。
「黒潮実感センター設立委員会」は、この島を生きた環境や生態を体験できるフィールド・ミュージアムにすべく活動中だ。
事務局長の神田優さんは‘98に高知市から移住し高知大学の研究者や島民らと委員会を発足させ、島内の中学校に事務局を置いた。活動内容は県内外の子供たちを対象に海中写真やビデオを使って島周辺に生息する魚の種類や生態を紹介したり、研究の成果を地元民や観光客に情報提供するなど、地元との交流をはかりながら柏島の環境保全を目指している。活動の拠点となるセンターの完成は2002年の予定だ。

神田優さんからのコメント

 柏島は周囲4km程の小さな島ですが、その周りには約1000種にも上る魚種が生息しています。また昨今レアものが容易に見られるということもあって、日本におけるダイビングのメッカになりつつあります。
 柏島を訪れる多くのダイバーが気持ちよく潜るためには、地元とのいい関係が必要不可欠です。そういった意味でも漁業者を中心とする地元住民の生活にも配慮し、かつ最も大切なことは柏島のたぐいまれなる貴重な海の環境をダイバーみずからが積極的に保護保全していく必要があるということです。
 柏島の海が生き物たちにとっていつまでも住みやすい環境であり続けるためにも、私たちダイバーには柏島の海を一時のブームで終わらせるのではなく、持続可能な海とのつきあい方が求められていると思います。
 柏島の魅力は自然環境のすばらしさだけではなく、そこに住んでいる人と自然との関わり方にあると思います。人と自然、漁業者とダイバーが共存できる島づくりを目指す中で、「黒潮実感センター設立委員会」は島まるごと自然の博物館にするというフィールド・ミュージアム構想の下、柏島周辺の海を「里海(さとうみ)」ととらえ、環境保全と持続可能な島おこしにもつなげていきたいと考えています。当委員会では環境保全と学術研究・教育の重要性を訴えていく、そんなセンターを目指していきます。
 当委員会ではセンター設立に向けてご支援していただく「友の会」を作っております。会員のかたがたには柏島の情報を提供させていただきます。
 本趣旨にご賛同いただけましたら、ぜひ、友の会にご入会いただきますようお願いいたします。
 黒潮実感センター設立委員会 電話(0880)62−8022