アオリイカの産卵場所に 魚礁9台を試験設置 柏島沖
(2001年4月21日 毎日新聞高知版掲載記事)

 大月町柏島を丸ごと自然博物館にする運動を進めている「黒潮実感センター設立委員会」が20日、地元のダイビング業者や漁業者と共同で、柏島沖に初めて魚礁9台を試験設置した。

 設置には、同委員会事務局長の神田優・高知大非常勤講師(34)=魚類生態学=と、大月スクーバダイビング事業組合(福留輝政組合長)のメンバーら22人が参加した。

 漁船など3隻に分乗し、午前10時過ぎ、同島滝ノ下沖約50メートルの海底(水深12、13メートル)で、ダイバー16人が作業を開始。鉄枠(縦横2メートル)に人口海草をつけた魚礁3台を南北に約10メートル間隔で設置したほか、周囲に柴を束ねた魚礁6台を据え付けた。近くにさらに2地点に設置する。

 神田さんによると、魚礁はアオリイカの産卵場所にするのが狙い。3〜6月ごろに産卵するが、近年、産卵に使う藻場が全国的に減っている。

 神田さんは「魚礁を週1回程度観察し、効果的な設置法を探るとともに、生態が十分知られていないアオリイカの研究を進め、成果を地域に還元したい」と語った。福留組合長は「産卵の成功を期待している。1年ではなく、長く続けて欲しい」と話していた。

【写真】人工海草の付いた魚礁を投入するダイバーたち=大月町柏島で