アオリイカ産卵礁設置 「研究を地元漁業に還元」 大月・黒潮実感センター
(2001年4月22日 高知新聞掲載記事)

 幡多郡大月町柏島で海洋生物研究機関の設立を目指している「黒潮実感センター設立委員会」(神田優事務局長)は二十日、地元の漁業者、スキューバダイビング業者と協力し、アオリイカの産卵場所を確保するための人工漁礁を設置した。漁業資源管理が目的で、地元からも期待が寄せられている。

 アオリイカはモイカとも呼ばれ、定置網や一本釣りで水揚げされる。海藻などに産卵するが、近年は産卵場所の減少などが課題となっている。そこで同委は、漁業者、地元の大月スクーバダイビング事業組合(福留輝政組合長)に呼び掛け、合同で産卵礁を設置することにした。

 設置作業には約二十人が参加。三そうの船で柏島漁港から四、五分の設置場所に移動した。産卵礁にはカシなどの雑木と樹脂製の人工海藻の二種類を用意した。

 約十二、三メートルの海底にダイバーが飛び込んだ後、人工海藻、重しの土のう、雑木の順に海中へ。ダイバーは、約三十分かけて設置作業を行った。

 この日は風が強かったものの、作業は無事に完了。同委の神田事務局長は「後日、別の地点にも設置します。この取り組みは、われわれが行う学術的な観察研究を地元漁業に還元できる機会。ダイビング業者も交え、皆さんでやれたことは大きい」と話していた。

 同委は今後、週に一回程度のペースで観察を続ける予定。一年後をめどに地元で海洋セミナーを行い、観察結果を公表したいとしている。

 【写真】人工海藻を海中に沈める参加者(大月町柏島) (4/21)