アオリイカの産卵場に人工海藻を設置/柏島
(2001年4月21日 朝日新聞高知版掲載記事)

 刺し身やするめ用に人気があるアオリイカの産卵場として、人工海藻の設置が20日、大月町の柏島で始まった。柏島で海洋生物の研究に取り組む黒潮実感センター設立委員会が、アオリイカの産卵や生態を研究して漁業振興にも結びつけようと企画した。

 同設立委のメンバーや地元の漁業者、ダイバーら約20人が島近くの海に船を出し、水深約10メートルの海底に潜って人工海藻3基を設置した。=写真。今後も周辺の海底数カ所に設ける予定。

 2メートル四方の金網数カ所に樹脂製の短冊を取り付けたもので、自然の海藻が付着しやすい。最近、海底の石全体が白くなる「いそ焼け」と呼ばれる現象のため、産卵場となる藻場が減っているそうで、島民らは人工海藻の効果に期待している。

 柏島ではダイバーによって漁場が荒らされるなど、漁業者とダイバー業者の利害が対立しており、同設立委の神田優事務局長は「研究成果を地元に還元し、ダイビングと漁業が共生するための第一歩にしたい」と話している。