<9月29日、柏島の後の浜でサンゴ食巻き貝の駆除を行いました>

 当日は快晴に恵まれボランティアダイバー17名の参加の下、柏島後ろの浜水深4-8mの7ポイント(前日に被害箇所にマーカーブイを設置)で、午前と午後の2回に分けてサンゴ食巻き貝の駆除を行いました。

 今回柏島後ろの浜の食害状況を調査したところ、壊滅的な打撃を受けた被害箇所は見あたらないものの、一つのサンゴあたり数10個体から数100個体貝が分散して、広範囲に分布していました。今後定期的な駆除及び調査を行う必要があると感じました。 今回駆除に参加できなかった地元ダイビングサービスは、お客さんのいない平日に駆除活動に当たるとのことでした。

 今回は参加してくれたボランティアダイバーの方に、黒潮実感センター事業部のメンバーによるお昼の炊き出しを行いました。事業部で用意したおにぎり、豚汁のほか黒田一男さんからクロハゲ(ニザダイ)のたたきの差し入れもあり、参加者からも好評でした。
 今回の駆除作業の結果サンゴ食巻き貝10,790個体、20.2kgを駆除しました。
駆除作業の後、参加者全員でバーベキューを行い、地元の方と参加したダイバーらとの交友を深めることができました。バーベキュー終了後は海洋セミナーを開催しました。

 海洋セミナーでは当日の駆除活動にも参加してくださった黒潮生物研究財団の岩瀬文人専務理事より、サンゴ食巻き貝の駆除について具体的な数字をだして駆除の有効性についてお話しいただきました。当日駆除したダイバー1人が1時間に駆除した貝の数から、現在の後ろの浜の被害の状態を分析してもらいました。それによると一人あたり平均317個体を駆除したことになることから、後の浜の状態は駆除数100-300個体/人の「多い状態(潜在的大発生)」から、300-999個体/人の「特に多い(準大発生)」状態の間にあり、一見健全に見える柏島のサンゴも大変心配な要素を含んでいるというお話がありました。また今回貝の集団が広範囲に散在していることが、駆除する際に多くの人の手を必要とする事が考えられました。この他セミナーでは大量発生には大洪水や陸上で大規模な開発が関与していることが多いことなど、自然発生だけでなく人為的要素が貝の大発生につながっていることも、過去の事例から報告していただきました。そのなかで被害の状態にあわせた効果的な駆除方法についてもお話を伺うことができました。セミナーでは当日の駆除風景を交えた水中映像で、柏島住民の方々にも地元の海の現状を知っていただくことができました。参加者には駆除した貝を直接見てさわってもらいました。

 黒潮実感センターでは今後も継続して調査、駆除活動を行っていきたいと思います。
 ボランティアダイバーの方のご参加を心よりお待ちしております。
 ご連絡は黒潮実感センターまでお願いします。

今回ご参加いただいた方々(敬称略)

黒田一男、厚子・黒田史定(渡船大黒丸)・黒田良一(渡船良栄丸)、真代・北代正男(大月ダイビングサービス)・松野和志・前田貴司(アクアス)・福留輝政、貴浩(マリンドリーム)・中川三枝(パラディ)・国沢三男、育子・亀井実・徳田禎伸・岩瀬文人((財)黒潮生物研究所)・本山美保(パークボランティア)・阿部文彦・枝川大二郎・目崎拓真・中井戸孝拓(高知大)・松本晋(愛媛大)・野崎龍彦・武田悟一(大阪市大)
ご協力ありがとうございました。

当日のコンディション:天気快晴、最高気温26℃、水温27℃、透視度20m



作業の説明



今から出発



駆除の様子



地元の漁師さんも潜って駆除



駆除の様子



ヒメシロレイシガイダマシ(中央部の赤い貝)
(白くなっているところが食害を受けたところ)



食害を受けて間もないところは白色、薄い緑は食害後にに藻類が付着しているところ。
濃い緑色の所は生きているサンゴ



駆除した貝を仕分けして計数



駆除した貝の計量
午前の部、3464個体 6.5kg、午後の部7326個体 14.7kg



第10回海洋セミナー大月 講師 岩瀬文人氏
(サンゴの外敵駆除について〜事例報告〜)



セミナーで当日の駆除の様子をビデオで上演