〜高知県西南部を襲った豪雨によるサンゴへの影響〜

 9月6・7日、高知県西南部を襲った豪雨によって大月町周防形の尻貝海岸に生息するイシサンゴ類が大打撃を受けました。

 豪雨後数日間は透明度が1mに満たないほどの濁りで、サンゴへの影響調査はできませんでしたが、濁りも一段落した9月26日にサンゴへの影響調査に行きました。

 大月エコロジーキャンプ場の下に広がる大月町周防形の尻貝海岸は比較的水深が浅く、数十種類のイシサンゴ類が生息していて、スノーケリングに適した場所です。今回の豪雨による土砂の流入で湾内全域にきめの細かい泥がひどいところでは40cm程も堆積し、ちょっとした波ですぐに泥が拡乱されて透明度が1mにみたなくなります。
 ここでは泥の影響等よるサンゴの被害状況の一部を紹介します。


シコロサンゴ 水深5m
海底には泥が約10cmは堆積しており、ちょっとした水の動きで砂煙が立ち視界を遮る。


シコロサンゴ 水深5m
通常サンゴの壁により仕切られた窪みには、砂や泥が少し堆積しているが、
今回の場合にはかなり上まで砂や泥に埋まっていた。
埋まったところのポリプは死んでしまう。



キクメイシ 水深3m
泥の堆積による影響ではなく、単なる白化現象。


ハナガササンゴ(中央部とその下) 水深6m
岩盤の谷部分にあったハナガササンゴ下の茶色い部分はポリプをのばした正常な状態。
中央部は泥の堆積がひどかったのか
ポリプが萎縮してしまったり死滅してしまったりしていた。




ハナガササンゴ
水深6m 萎縮してしまっているポリプ。 脱落したあとも見える。
ハナガササンゴは泥の堆積などには比較的強く払いのけるのだが、
あまりの泥の堆積による死滅かもしれない。


 以上のコメントおよび種同定は、大月町西泊にある「黒潮生物研究所」の岩瀬氏にお願いしました。

 泥の堆積や濁りによるサンゴの死滅を防ぐために、早急な手だてが必要ですが、具体的な方法について現在県や町と検討中です。
 しかし、広範囲なサンゴ生息域の泥を除去するには人の力だけでは限界があるのも事実なのです。