アオリイカ大量産卵/黒潮実感センター設立委員会
柏島周辺 柴の魚礁 1基当たり1万個を確認

(平成13年12月13日 毎日新聞掲載記事)

 黒潮実感センター設立委員会(神田優・事務局長)が今月4月、柏島周辺に設置したアオリイカ産卵用の魚礁に大量の卵が産み付けられていたことが分かり、同設立委は「地域おこしに役立てる見通しが立った」と話している。
 同設立委は14日午後7時半から同島のすくも湾漁協柏島支所で「第11回海洋セミナー大月」を開き、産卵シーンの映像を交えて報告する。同設立委は大月町・柏島を丸ごと自然博物館にする運動を進めており、環境保護と地域おこしの両立を目指している。
 神田さんによると、アオリイカは4〜6月に房状の卵を生む。6〜8月にふ化し、約1年で体長60センチ前後に成長。1日干しのスルメは600グラム当たり4000〜5000円で売れ、捕獲も簡単なことから地元の現金収入につながると期待される。同設立委は4月20日、地元漁師やダイバーの協力で島の周辺2カ所に、柴の束の魚礁計20基と、人工海草を鉄枠に取り付けた魚礁計8基を設置。その後の潜水調査で、柴の魚礁には産卵期に多数のアオリイカが群がり、1基当たり最大1万個の卵の房を産み付けたことを確認した。柴の魚礁は全国で使われるが、アオリイカの産卵は通常1基当たり数百房といい、柏島の例は極端に多い。
 同設立委は、魚礁の設置方法や場所に工夫を凝らしたことが奏功したとみている。一方、人工海草の魚礁には産卵が少ないものの、1月以降に海草の種が付き、天然の藻場として優れた産卵場になると期待される。


柴の魚礁に産卵するアオリイカのカップル
(上が雄)=黒潮実感センター設立委提供