土佐の海の環境シンポ 26日高知大で
2002年01月23日 朝日新聞掲載


 県の西南端にある大月町柏島を題材に、海洋資源の活用や地域振興を考える「土佐の海の環境学シンポジウム」が26日、高知市曙町2丁目の高知大学で開かれる。橋本大二郎知事や山本晋平・高知大学長らがパネリストとして出席し、海洋資源を有効利用するために、行政と教育・研究機関がどのように連携するかなどについて意見を交換する。入場無料。

 柏島は高知沖を流れる黒潮の影響を直接受けることから、多様な海中生物が生息している。日本有数のサンゴ群生地として知られ、亜熱帯のテーブルサンゴに温帯のキンギョハナダイやシマウミスズメが群がる姿が見られるなど、多様な生態環境が維持されている。サンゴに魅せられ、年間1万人を超すダイバーが訪れているが、環境悪化やごみ問題などで地元住民とのトラブルもある。

 こうした問題の解決方法を探ろうと、高知大では環境や法律、経済などの学者らが共同研究に取り組んでおり、昨年10月から学生向けの連続講座「土佐の海の環境学」を開講している。今回のシンポジウムは議論を学内にとどめず、一般にも広げようと、企画された。

 シンポジウムでは、はじめに婁小波・東京水産大助教授(水産経済学)が基調報告を受け持つ。海にかかわる産業を「海業」と位置づけ、漁業と海洋レジャーを相互発展させるなど、海の多面的な利用法を提言する。

 その後のパネルディスカッションでは、行政と大学、NPOの3者が、県内の海洋資源を持続的に有効活用する方法について意見を交わす。パネリストは橋本知事と山本学長のほか、柴岡邦男・大月町長や、柏島を自然博物館にする構想を進める環境団体「黒潮実感センター」事務局の神田優さんら。

 シンポジウムは午後4〜6時半、高知大共通教育棟2号館222番教室で。問い合わせは、黒潮実感センター事務局(0880・62・8022)へ。


海底に群れるオレンジ色のキンギョハナダイ=柏島周辺で、神田優さん提供