柏島通し環境討議/海と人の関係模索
高知大でシンポ

平成14年1月27日 高知新聞掲載


 幡多郡大月町柏島の自然を通して海の環境問題を考える「土佐の海の環境学シンポジウム-高知の海の環境教育と環境行政・大学と県の役割」が26日、高知市曙町2丁目の高知大で開かれ、大学研究者ら行政トップらが意見を交わした。

高知大と、柏島の黒潮実感センター設立委員会(会長=柴岡邦男大月町長)の主催。約200人が聴講した。
 高知大は昨秋から柏島を題材に、共通教育科目「土佐の海の環境学」を開講。持続可能な海の環境を自然科学と社会科学の両面から探ってきた。シンポジウムはその成果と産学官民の連携、官学の役割を検証するために開いた。
まず東京水産大の婁小波・助教授=水産経済学=が基調講演。海と人との関係は近年、漁業中心からダイビングなどレジャー的利用に拡大していることに触れ、人と環境、人と人とのルールづくりの必要性を説いた。
 また、地域の人々による総合的な海の利用を「海業(うみぎょう)」と定義。「海業と環境の相互依存関係を保つには、環境教育、人材育成が必要だ」と訴えた。

 この後、深見公雄高知大教授をコーディネーターに、小椋克己・県立坂本龍馬記念館長、神田優・黒潮実感センター設立委員会事務局長、柴岡大月町長、橋本大二郎知事、山本晋平高知大学長の6人がパネルディスカッション。
 パネリストは、柏島の漁業とレジャーとの対峙(たいじ)や、総合的な環境対策の必要性に触れながら、「住民が、環境保全が共通のキーワードと認識しなければ問題解決は進まない」「大学と行政だけでやれるわけではない」「大学なら柏島の全住民の意識調査もできるのではないか」などと述べ合い、聴講者も問題の大きさをあらためて感じ取っていた。


柏島を例に高知の海の環境学を考えたシンポジウム(高知市の高知大)