<「土佐の海の未来を考えるつどい」
高知の島を博物館にする試み 西宮の女性らが支援目的に>

(平成14年2月8日『アサヒファミリーニュース』掲載)


 島をまるごと自然のミュージアムにしよう。四国の西南端、高知県・柏島で進んでいる意欲的な取り組みを広く知ってもらおうと、西宮の女性ら関西に住む支援者が、16日(土)午後3時〜7時半、大阪市中央区の府立青少年会館(JR・地下鉄森ノ宮)で「土佐の海の未来を考えるつどい」を開く。

 構想を進める黒潮実感センター設立委員会の神田優事務局長(35)が来阪して講演。島で撮影された海洋生物の写真展や交流会も予定されている。無料。

 柏島は周囲約4キロ。約570人が暮らす。沿岸は黒潮の影響を直接受け、豊後水道の潮流も合流することから、温帯産と熱帯産の魚類が混生。96年の高知大の調査では国内最多の143科884種を確認された。イシサンゴ類やソフトコーラル類が広範囲に見られる国内有数のサンゴ群生地としても知られ、年間約1万人のダイバーが訪れている。

 センター構想は、島の自然に魅せられて移り住んだ大学講師の神田さんが中心になり、町や県を巻き込み、98年から設立に向けて作業が進められている。ダイバーと漁業者の摩擦を減らし均衡のとれた島の振興を図るとともに、子どもたちへの環境教育や、貴重な海洋資源を生かした学術研究の拠点をめざす。従来のように建物を新設するのでなく、島全体を“博物館”に見立てる試みが注目されているが、設立資金の多くを市民に頼らざるを得ないのが実情。年会費1口2千円の友の会を作り、支援を呼びかけている。

 支援者の1人、西宮市高須町のフリーアナウンサー、叶桂子さん(52)は新聞で構想を知り、00年6月、柏島を初めて訪れた。カラオケもネオンもない素朴さに感動。海は体験ダイビングで30分ほど潜っただけだったが、亜熱帯のテーブルサンゴが目の前に広がり、数多くの魚が体にじゃれつくように泳ぐ姿に不思議さを感じた。3カ月後、ダイバー免許を島で取得。島の人情も趣味の世界を広げてくれたという。

 今回のつどいは関西で支援の輪を広げるのがねらい。午後3時〜5時の交流会ではボランティアや大学教授ら島に関心のある人たちが集まり、意見を交換し交流を深める。講演は午後6時〜7時半。神田さんが「島が丸ごと博物館」と題して、自然やセンター構想について話し、市民と行政、教育機関などが一体となった“海づくり”を訴える。叶さんは「柏島はホンマもんの日本の“ふるさと”。海の豊かさと守っていくことの大切さを伝えたい」と話している。
 問い合わせは電話(0880)62-8022、センター事務局へ。



四国の西南端、太平洋に浮かぶ柏島



サンゴの海に群れるキンギョハナダイ(神田優さん提供)