〜柏島「黒潮実感センター」構想〜
関西からも設立支援 60人出席 大阪で集い

(平成14年2月19日 高知新聞掲載)


 幡多郡大月町柏島に海洋生物の研究拠点「黒潮実感センター」を設立する構想への支援を関西でも広げようと、「土佐の海の未来を考えるつどい」がこのほど、大阪市で開かれた。約60人を前にセンター設立委事務局長の神田優・高知大講師が「長い目の環境保全と、すぐ目に見える経済的な地域おこしを調和させたい。持続して利用できる『里海』を島全体でつくりたい」などと支援を呼び掛けた。

組織化し活動推進

「黒潮実感センター」は、柏島全体を自然が体験できる博物館、周辺を人間が自然と共生する「里海」と位置づける活動の拠点。約70人がボランティア組織「里海」を作り、開設準備を支援している。関西地区の会員が、集いを開いた。
 まず、神田さんがカラー映像を見せて「柏島周辺は約一千種の魚がすむ貴重な海」と紹介。「漁獲が減る一方、ダイバーや釣り客相手の観光漁業は伸びており、島民の所得格差が広がる傾向がある」などと説明した。
 さらに、高知大との共同学術研究や子供たちの体験学習、産卵場造りなど漁業資源回復への取り組みなどを報告。「ダイバーと漁民の板挟みで摩擦が生じることもあるが、地域との一体感をつくり上げたい」と決意を披露した。

「里海」副会長の山下正樹さん(奈良県大和郡山市)は「関西では理解しにくい島の実情を多くの人に知ってもらえたと思う。支援の輪を組織化して、地元のイベントに参加するなど活動を進めたい」と話していた。



柏島周辺の海中をとらえた映像に見入る参加者(大阪市中央区の府青少年センター)