「土佐の海の環境学シンポジウム」盛会お礼


  1月26日、高知大学にて「土佐の海の環境学シンポジウム」(主催=高知大学・黒潮実感センター設立委員会)を開催しました。
 テーマは「高知の海の環境教育と環境行政:大学と県の役割」。
 冷たい雨の中、大月町からバスや自家用車で約30名、県内外から200名の方の参加があり、280名収容の教室もほぼ満席になりました。
 シンポジウム開催にあたって、山本有二衆議院議員からは祝電を、女優の宮崎美子さんからはお花をいただきました。
 半年前よりこのシンポジウムのために準備をして下さった「柏島プロジェクト」代表の新保輝幸先生をはじめ、山岡耕作先生、深見公雄先生、三浦大介先生、友野哲彦先生、婁小波先生、交告尚史先生に多大なご尽力をいただきました。心より御礼申し上げます。

 シンポジウム後の懇親会には柴岡邦男大月町長より柏島で水揚げされた天然のブリを2本差し入れしていただきました。
 そのブリを高知市の居酒屋「蓮」の川口さん(神田の小学校時代の同級生)のご厚意により、姿盛りと皿鉢に調理していただき大好評でした。
 会場設営などの準備は高知大学の「柏島ファンクラブ」と東京都、奈良県、福岡県から駆けつけた「黒潮ボランティア・里海」のメンバーらが共働で行いました。またシンポジウムの内容を文字におこす作業を高知大の学生と福岡県、香川県、宮崎県、兵庫県、高知県、東京都のボランティアメンバーがお手伝いして下さいました。
 多くの方に支えられて今回のシンポジウムも無事盛会となりました。ご協力いただきました皆様に心より御礼申し上げます。

<土佐の海の環境学シンポジウム要約>
週刊釣りサンデー2002.2.17号「AQUAノート21」への原稿を引用

「海業」で永続的な資源の活用を
高知の海を事例に人と自然の関係考えるシンポ盛況

 1月26日、高知大学で「土佐の海の環境学シンポジウム−高知の海の環境教育と環境行政:大学と県の役割」が開かれた。主催は高知大学と黒潮実感センター設立委員会(会長=柴岡邦男・大月町長)。
 雨の中、学生や県内外からの参加者約200人が会場をうめた。
 豊かな自然資源を誇る高知。環境を守りながら、将来にわたって恵みをうけつづけるにはどうしたらいいか。高知大学では今年度、学部をこえた共通講義「土佐の海の環境学」を持った。自然科学と人文科学の教官が交代で登壇。県西南端、大月町柏島のケースをはじめ、県内の海の問題を事例に人と自然の関係を考えてきた。シンポはこの授業の総まとめにあたる。

 基調講演に立ったのは、全国の漁村を回る婁小波・東京水産大学助教授。漁業が衰退しレジャー産業との競合も激しくなる中、僻村でありながら漁家の観光対応で潤う福井県三方町と、漁協と町が主体となって外部業者と連携、ダイビング案内業を順調に滑り出させた徳島県牟岐町の成功例を挙げた。人と環境、人と人の間のルールづくりが必要と説く。
 婁助教授は海洋資源活用の新しい形を「海業」(うみぎょう)と呼ぶ。漁業には邪魔だった波や熱帯魚もまるまる観光・レジャーの資源に変える。主体はあくまで地域住民、漁師だ。ルールを守らせ、利益を公正に配分するのが容易になるという。
 過疎地の産業構造が変わり人が住み着けば、漁業の担い手も生まれる。「海業」は環境保全を前提とし、海に多様性があるほど有利なのがポイントだ。環境教育、人材育成が求められる、としめくくった。

 講演を受け、小椋克己・県立坂本龍馬記念館館長、黒潮実感センター設立委員会事務局長の神田、柴岡邦男・大月町長、橋本大二郎・高知県知事、山本晋平・高知大学学長の5人がパネルディスカッション。柏島の事例を手がかりに、住民、行政、大学、事業者、NPOなどの連携のあり方を参加者とともに考えた。
 周囲4キロの柏島の海にはサンゴと1000種近い魚が群れる。黒潮実感センターは、柏島そのものを自然の博物館に見立て、地域に根ざした環境保全活動を行う構想。年内にNPO法人として立ち上げる計画だ。
 島では近年、観光客の増加で環境にあたえる影響が心配され、ダイビングなどのレジャー産業と漁業の摩擦も起きている。設立委の私は「お金に結びつく事業に一斉に走ってしまう傾向」が、持続可能な資源利用を妨げると指摘した。設立委の小中高校生向け環境学習には、将来を展望する目を育てる意味もこめられている。

 柴岡町長は「町の命題は地域振興」とし、町全体をフィールドにした観光産業の構想にふれた。知事は「海業」的な広い視点で海をとらえる政策を説明。「地域に根ざし、地域を動かす人づくり」を述べ「高知大の学生が地域住民の感じていることを聞き出せるのではないか」「柏島を自然科学の研究・教育の場として見るだけなく、ぜひ社会環境学のフィールドミュージアムとしたい。そうすれば一歩ふみ出せない他の地域にも広げていけるはずだ」と話した。



司会進行の三浦先生



山本高知大学長ご挨拶



深見先生より趣旨説明



婁先生 基調報告


パネリスト



280名収容の教室もほぼ満席に



大月町からも30名近くの方が参加



神田事務局長
「お金に結びつく事業に走ってしまう傾向が懸念材料」



橋本知事
「地域に根ざし、地域を動かす人づくりが大切」



柴岡町長
「町の命題は地域振興」



小椋館長
「マスコミを使って情報発信しながら、賛同をひろめる」



高知大学長
「持続可能な社会の発展にむかって、未来を現在 の中に取り入れてやっていく学生をつくっていきたい」



高知大学生
「自然を守って生かすことについて行政としての 金銭的な援助は十分なされているのか」



真剣に聞き入る高知大学生



参加者
「海業を成り立たせるための社会環境が整っていない、その原因と解決策は」



新保先生 閉会挨拶



シンポジウムの成功を祝って乾杯!



左から、奈良から駆けつけてくれたボランティアの山下さん、橋本知事、深見先生、神田。
後方のお花は女優の宮崎美子さんより送られたもの



柏島でとれたてのブリを豪快に姿盛り



久しぶり?のご馳走に大満足の学生達 楽しい懇親会でした