第2回「海辺の環境教育フォーラム2002」の報告


 (今回は黒潮実感センター設立友の会の会員である尾鼻さんからの報告というかたちで紹介させて貰います。)
 第2回目「海辺の環境教育フォーラム2002」が、昨年に引き続き 静岡県 賀茂郡 賀茂村 安良里で、3月9日(土)〜10日(日)に無事終了いたしました。

 黒潮実感センター設立委員会の神田優さんにゲストでご参加いただきました。随所に神田さんらしさが表れて、もう一人のゲストの東邦大学理学部教授・海洋生物学研究室の風呂田利夫さんとのからみも絶妙で、大好評、大人気でした。
 概略ですが、ご報告させていただきます。

 フォーラム開催地の賀茂村は、伊豆半島の西海岸真中に位置した人口3,800人弱の静かな村です。柏島と同じく交通の便は不便ですが、紺碧の海の向こうに、富士山や雪をいただく南アルプスが見え、その中を燃えるような夕日が沈んでいくといううらやましい限りの景勝地です。漁業や農業、釣りやダイビングやキャンプ、温泉、観光、ガラスの里でもあります。

 フォーラムに先立って8日(金)には、プレワークショップが実施されました。
 西伊豆特有の海岸洞窟めぐりなどを楽しんだ「シーカヤック体験ツアー」、伊豆発祥の「海藻おしば」、実際に海岸に出た「海辺で体験学習」、フォーラム最終日につながるプレ分科会「海辺の総合学習を考える」など、それぞれが自身の活動につなげていかれたのではないでしょうか。

 9日からは、参加者70名、ゲスト、実行委員・スタッフ含め総勢約90名に、一日目の講演・パネルディスカッションには、賀茂村村民の方々も加わって下さり、フォーラム本番がスタートしました。

 今回のフォーラムでは、「環境教育のベースとしての自然科学的な視点」をテーマの一つとして取り上げています。
 ゲストの神田優さん、風呂田利夫さん、フォーラム実行委員でもあります静岡県水産試験場伊豆分場の相楽充紀さんに、それぞれの実践の場での映像を交えて、講演していただきました。
 講演をしていただきましたお三方は、それぞれのフィールド、立場や研究内容などは違いますが、海の現場フィールド実体験からの提言がとても印象的でした。

 引き続いてのパネルディスカッションでは、学生代表で東海大学海洋学部水産学科の足立なつきさんにも加わっていただきました。
 コーディネーターの古瀬浩史さんが投げかけた設問に、パネラー会場とも、それぞれが紙に記入し見せ合い、笑い声が響く双方向のパネルディスカッションとなりました。

 設問は、「環境教育に関わるようになったきっかけは?」「海の環境教育をする側においてもっとも大切にしたい事」「あなたの次の一歩は」等などでした。
 ちなみに、「あなたが大切にしたい事」での神田さんの書き込みは、『「海が好き」ということを伝える』でした。
 その後の風呂田さんから神田さんへの質問は、「神田さん、生活費をどう稼いでるの?」で、場内大爆笑に包まれました。

 その夜の懇親会は、高知の皿鉢料理に負けない安良里漁協のみなさんのご好意がてんこ盛りの安良里盛り?がテーブルにたくさん並び大いに盛り上がりました。神田さんもすっかりいつもの装い?に着替えリラックスされ、参加者みなさんと盛り上がっておられました。

 二日目は、午前中は下記の五つの分科会に分かれ、それぞれのテーマを話し合いました。

 1.漁業と連携した海辺の環境教育(田中克哲氏)
 2.海辺の総合学習を考える (海野義明氏)
 3.水慣れ  水と仲良くなる方法 (長谷川孝一氏)
 4.海辺活動の安全 安全と自由な楽しさは両立するか?(壇野清司氏)
 5.海辺フォーラムの今後について考える(高橋、古瀬)

 神田さんには、4の「海辺活動の安全――」に加わっていただきました。
 参加者それぞれの事例も含めて、海辺の活動にとって基本となる安全確保と自由な楽しさという事を、熱心に議論しあいました。

 午後からは、それぞれの分科会の報告と、開催地を含めたフォーラムの今後など参加者全員での意見交換をし、プレワークから三日間のフォーラムが無事終了いたしました。

 神田さんには、年度末のハードスケジュールの中、遠い柏島から またまた遠い西伊豆まで参加していただき、本当にありがとうございました。
 このフォーラムの参加者は、何らかの形で海辺の活動に関わっておられる方が多く、黒潮実感センターの活動の認知度はかなり高いと思います。
 しかし、神田さん自身に触れ、そして高知の海や柏島に寄せる神田さんの熱い思いに触れて、あらためて黒潮実感センターの活動へ関心を深めておられました。

 また、この「海辺の環境教育フォーラム」は、完成されたフォーラムではありません。
 参加する意思を持った人たちの一人一人の手が重なり合って、作り上げられていくものだと思います。
 これからも開催地も含め、多くの方たちと話し合っていきたいと思いますので、みなさまもどうかご参加ください。いつか柏島でフォーラムを開催したいですね。

 以上、みなさまとのご縁に感謝を込めて報告とさせていただきます。

 海辺の環境教育フォーラムのHPのURLです。
http://www.interpreter.ne.jp/
 このHPのトップページから、海辺のフォーラムメーリングリストに入れます。

(海辺の環境教育フォーラム実行委員  おばな ・ いわもと ・ あきこ)



神田講演(講演タイトル:海の環境教育から始まる持続可能な里海づくり)



パワーポイントでプレゼンテーション



風呂田先生によるプレゼンテーション



相楽さんによるプレゼンテーション



会場からのどうやって食べているの?の質問に「うーん」の顔



古瀬さんをコーディネーターに相楽さん、風呂田さん、神田、足立さんとパネルディスカッション



会場の皆さん



2日目の分科会での話し合い(分科会:海辺活動の安全 安全と自由な 楽しさは両立するか?)