われら高知ファン(2002年4月8日 高知新聞掲載)
柏島応援組織の副会長 山下正樹さん(57)奈良県大和郡山市

外からの協力が必要
島の人中心に活動進めたい


 幡多郡大月町の柏島を丸ごと自然博物館に見立て、環境保護と地域おこし、海洋生物の研究を進める構想が、神田優・高知大講師を中心に進められている。
 その拠点が廃校となった旧柏島中学校を利用する「黒潮実感センター」(神田優・設立委事務局長)。大阪の大手銀行に勤める山下正樹さん(57)=奈良県大和郡山市=は、構想に協力するボランティア組織「里海」の副会長だ。
「現在、設立委友の会会員が全国に三百人。『里海』会員には80人が登録している。定期的に情報を送信するメーリングリストには青森や鹿児島の人もいる」

「こんな島が・・・」

 山下さんが柏島を知ったのは11年11月、「漁業と観光共生へ」との見出しで神田さんらの活動を紹介した新聞記事。
「環境保護の活動は珍しくないが、地域おこしや学術研究と関連づけているのが新鮮だった。私は広島県呉市の出身。あの辺りの島では一時的に観光客でにぎわったが、ブームが去ると環境を破壊しただけだったというケースも幾つもある」
翌年、島で開かれたシンポジウムに参加した。
「体験ダイビングに挑戦すると、海岸から目と鼻の先の場所で10メートルほど潜るだけで魚がものすごい数。『四国にこんなすごい島があるとは』と感激した」

漁業者に利益を

 山下さんは、島も構想も素晴らしいのに「黒潮実感センター」実現が必ずしも順調にいってない現状をもどかしく思い、ボランティア組織「里海」を結成する。
「神田さんに研究者として力を発揮できる環境をつくってあげ、島の人との橋渡し役を果たしたい。こういう活動には島の外からの協力が必要だ」島には年間1万人以上の人が訪れるが、大半はダイビング客で、必ずしも漁業者の利益につながってない。
「昨年10月から漁協にも参加してもらい、港で魚介類を売る『里海市』を開いている。今後、大阪や東京で神田さんの講演会を開いてPRしたい。
 8月には『里海』をNPO組織に衣替えするので、島で総会を開く予定だ。
 島の人を中心として、漁業者の利益につながる活動に発展させたい」
(大阪支社・細川喜弘)



「主役は島の人。ダイバーにも海を守る活動に参加してもらい、
われわれがつなぎ役になりたい」と話す山下さん(大阪市中央区、高知新聞社大阪支社)



「里海」メンバーと柏島近くの海で。前列左は神田さん。右が山下さん(幡多郡大月町)