〜海の環境教育副読本ができました〜


このデジタル副読本は、四国西南端に位置する高知県大月町・柏島から発信する教材です。本来の対象である高知県下の中学生はもちろんのこと、環境・生物教育、地域の特性を活かした学習や市民活動に関心をお持ちの方に、また、海が好きな子どもたち、未だ海を知らない子どもたちにも、広く活用していただくことを願っています。

柏島は足摺宇和海国立公園の景勝地、大堂海岸の突端にあります。周囲わずか4キロ、人口500人あまりの漁業の島です。島のまわりにはサンゴが群生し、1996年、高知大学の調査で884種の魚が確認されました。日本に棲息する海水魚・淡水魚は約3800種ですから、4分の1におよびます。この海をめざして、近年はスキューバ・ダイビングや釣りを楽しむレジャー客が関西、関東からも訪れます。熱帯と暖帯の生き物がひとところに見られる、特異で豊かな海の環境。この自然が今も昔も、人のくらしと隣り合わせにあることが柏島の特徴であり、大きな魅力です。

教材の内容は、島の持ち味そのままにもりだくさんとなりました。

【さまざまな切り口】
「海」は、非常に多様なアプローチが可能な素材です。海洋環境、生物の生態、漁業 、環境保全、くらしの中の水、海の利用をめぐる新しい問題――本教材は「自然環境 」と「社会環境」の二つの柱を立て、上記のようなさまざまな角度から柏島の海を紹 介します。学習のヒントをさがしていただけるのではないでしょうか。

【興味に応じた活用】
柏島を例にとりながら、高知の海、日本の海、海につながる陸上の環境へと視野を広 げます。また、興味を持った項目があれば、CD-ROMを読み進むことで大学の一般教養 レベルまで知識を深めることもできます。サンゴの生態、魚類の生態、海水の富栄養 ・貧栄養など、専門家による平易な解説で、大人の好奇心も刺激する内容です。高校 生以上の皆さんもご活用ください。

【豊富な画像】
美しい水中写真、島の歴史を物語る古い写真など、貴重な画像をふんだんに使いまし た。棲息場所別65項目の「海の生き物たち」のページ(CD-ROM)は、お魚図鑑として 小学生から楽しく使えます。

【旧・柏島中学校の記録】
黒潮実感センター設立準備委員会が事務局を置いていた柏島中学校。CD-ROMには、20 01年3月をもって廃校となった同校での環境学習の実践を記録しました。

【海への一歩に】
この教材を、実体験とあわせてご活用いただくことが製作者の願いです。本物の海に ふれることで世界が広がり、自然を守りたいと思う気持ちもまた本物になるのではな いでしょうか。
陸上と比べ、海で環境学習、生物観察等を行うことに高いハードルをお感じの方も多 いかもしれません。教材巻末には、高知県内の主な学習施設の連絡先を記しました。 黒潮実感センター(設立委員会)でも、大月町内、柏島での体験学習、修学旅行に対 応してまいります。
ぜひ一度、柏島へおでかけください。



海の環境教育副読本
「黒潮実感!島が丸ごと博物館 大月町・柏島」

※中学生向/A4版・29.6×21cm/16頁/CD-ROM付き

※CD-ROMはWINDOWS、Macintoshいずれにも対応。

■製作:黒潮実感センター(設立委員会)
■発行:高知県文化環境部環境保全課
■執筆:岩瀬文人(黒潮生物研究所所長)、神田優(黒潮実感センター設立委員会事務局長)、深見公雄(高知大学農学部教授)、山岡耕作(高知大学農学部教授)、余吾豊(有限会社水交舎代表取締役)

■ご希望の方は黒潮実感センターにメールか電話でご連絡ください。