高知大が柏島実感へ現地講座開設


「高知大が柏島実感へ現地講座 住民と交流、自然体験」

 高知大は17年度から、全5学部共通の一般教養科目に幡多郡大月町柏島で現地学習する「土佐の海の環境学 柏島の海から考える」を導入。教室を出て柏島で地域住民や自然と触れ合う。全学部共通の一般教養科目でフィールド学習を行うのは、同大では初めて。

 「土佐の海の環境学」は4年前から学部共通の一般教養科目だが、朝倉キャンパスでの講義だけだった。本年度はより理解を深めようとフィールド学習を計画。1000種類を超える魚類や、多彩なサンゴ群生で知られる柏島に的を絞って学習することにした。

 人文、教育、理、農、医の全5学部共通の選択科目とし、募集人員は40人。9月5日から5日間、集中講義を行う。2日間は朝倉キャンパスで柏島の海洋生物の多様性や、人と環境をめぐる問題点を学習。後半3日間が現地授業となる。

 現地では漁協やダイビング業者、島おこしに取り組む住民団体らと交流。討論会を開くほか、シュノーケリングなども体験する。

 多彩な学部学生を想定し、学習の切り口も多様だ。魚類相に自然科学面からアプローチするのはもちろん、「漁業振興と漁協の役割」「自然環境を守りながら地域を発展させる方策」など社会科学的な視点も。柏島周辺のサンゴを食べる巻き貝の誘因物質や、地場産品のところてんを分子生物学的に分析するテーマも用意している。

 教官の黒潮圏海洋科学研究科の山岡耕作教授は「21世紀のキーワードは『実感』。現地に足を運び実感することが大切。書籍で知識を詰めこむばかりでは頭でっかちになってしまう」と現場主義の意義を強調。講師を務める「黒潮実感センター」の神田優・センター長も「地域に根差して『柏島学』を学び、いずれは研究した知識を地元に還元してほしい」と期待している。

 【写真説明】高知大のフィールド学習が行われる大月町の柏島(黒潮実感センター提供)

(平成17年4月8日 高知新聞掲載)