高知県幡多郡大月町柏島は、四国の西南端に位置している周囲4km程の小さな島です。
 沿岸は黒潮の影響と同時に、柏島が宿毛湾の入口にもあたることから豊後水道の影響も受け、熱帯産と温帯産の魚類が混生しています。1996年の高知大学海洋センターの報告では、143科884種もの魚類相が確認されました。その後も調査は継続されており、現段階では未記載種(新種)・日本初記録種を含めて、約1000種近くが確認されています。
 日本沿岸では現在約3500種の魚が確認されていますが、その約1/3が柏島の周りに棲息しているということです。これほどの魚種が確認されたのは日本の他の地域では例がなく、柏島の特異な立地条件に基づく豊かな魚類相を物語っています。
 ちなみに柏島で新種記載されたモノには、イザヨイベンケイハゼ、ムチイザリウオ、キツネメネジリンボウなどが、日本初記録種で和名が付いたモノにはイナズマヒカリイシモチ、ナミマツカサ(旧アカマツカサ)などといったダイバーに人気のある魚たちもいます(柏島の水中写真をご覧になりたい方はここをクリックしてください)。

 無脊椎動物相も充実しており、柏島及びその周辺海域には広範囲にわたって多種多様なイシサンゴ類やソフトコーラル類が群生しています。イシサンゴ類の規模は、トカラ列島以南と小笠原を除く日本沿岸域では1、2位を争うものです。
 透明度は平均20mほどで、最高時には30-40mまで上がります。
 水温は年間を通じて温かく、29-16℃の間で推移します。

 柏島は古くから磯釣りのメッカとして知られてきました。最近この豊かで美しい海がNHK「生きもの地球紀行」の特集などで脚光を浴び、県外各地から多くのダイバーが訪れるようになり、年間来島ダイバー数が延べ1万人にもなりました。今や柏島はダイビングのメッカともなりつつあります。
 しかし、それに伴いダイビングショップが増加し、新しいポイントの開発や珍しい魚などの発見が増える一方で、ダイビングポイントの荒廃が目立ち始めています。
 黒潮実感センター設立準備委員会では、このような環境・状況にある柏島の海を、より多くの方々に知っていただき、また環境保全や生涯学習の場としても機能する当センター設立にむけて活動しています。

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