設立の目的

 海洋生物の宝庫である大月町柏島の海。この海の素晴らしさをより多くの人に知っていただき、共に育んでいただくための活動をしているのが「黒潮実感センター」です。同時に、当センターでは海の環境保全を推進するための拠点としての活動も行っていく予定です。
 将来的には隣接する宿毛市とも協力し、柏島(大月町)を拠点に、沖の島・鵜来島(宿毛市)にも分室を設け、3島をネットワークで結び宿毛湾全体の活性化と自然環境の保全活動に結びつけたいと考えています。

「黒潮実感センター」が従来型の博物館と異なる点は、生きた環境や生態を体験・実感できるフィールド・ミュージアムであることです。また、柏島周辺の海域は学術的に研究価値が高いフィールドでもあることから、海洋生物の研究拠点としての役割も担えると考えています。
 研究の成果は地元の方々や柏島を訪れた方々に、セミナー等を通して紹介します。当センターを地元の方々の生涯学習や環境学習の場として開放し、ひろく研究成果を還元することで、柏島の海をさらに深く広く理解していただけると考えています。

 1998(平成10)年「黒潮実感センター設立準備委員会」発足、2000(平成12)年「黒潮実感センター設立委員会」へ改組、そしてご支援くださった皆様のお陰で2002(平成14)年10月には特定非営利活動(NPO)法人格を取得、「特定非営利活動(NPO)法人 黒潮実感センター」として再出発。
 発足当時から当センターは、高知県における自然史系博物館「海の分館」のモデルとして位置づけ、以下の項目の実現を目指して来ました。

1. 柏島周辺の海に棲む生物の標本展示をおこなう。
2. 水中写真による海の生物の記録を展示保管する。
3. ミニ水族館を開く(地元の子供たちがもってきた魚などを中心に)。
4. 海中ビデオライブラリーを制作する。
5. 大学等との研究機関と連携して、海洋生物の研究を行う。
6. その研究成果を研究集会やセミナーを開催する事で地元に還元し、 地元住民の生涯学習や環境学習に役立てる。セミナーは漁業者向けの話題やダイバー向けの話題を提供する。
7. 高知大学等の教育研究機関と漁業者とのパイプ役を果たし、水産業の活性化 につなげる。
8. 地元の小中高等学校等と連携して、環境学習の一環としてフィールド体験学習を行ったり、海の生き物に関するレクチャーを行う。そのことによって地 元の自然を再認識し、その環境の持つ意味を理解することで、知的好奇心を触発する。
9. 自然保護活動を行う。
10. 柏島周辺域の海洋生物の情報や研究の紹介を、機関紙やインターネットを通 じて、地元はもとより大月町を訪れるダイバーや釣り人に情報発信する。
11. 自然観察会等のイベントを企画し、地元だけでなく町外からの参加も募り、 交流を図る。
12. 地域産業の活性化をはかる(ダイバーと漁業者との共存を目指す)。

 黒潮実感センターは、今後も地元の人々に親しまれる施設、「おらが町の博物館」となるよう、地域の皆さん一人ひとりのご理解とご協力のもとに活動を続けて行きたいと考えています。
 みなさまのご支援、ご協力をお願いいたします。

NPO法人 黒潮実感センター
センター長 神田 優


[神田優のプロフィール]

昭和41年高知市長浜に生まれる。子どもの頃からの海好き、釣り好きで魚好き。
それが高じて高知大学農学部栽培漁業学科に入学。学生時代は釣りと高知県・沖縄県座間味島でのダイビングガイドで生計を立てつつ学問に励む。
経験タンク本数5000本。大学院博士課程で東京大学海洋研究所に在籍し、平成8年に学位農学博士取得。専門は魚類生態学。
平成10年から柏島に移り住み、高知大学や高知医科大学非常勤講師を続けながら、黒潮実感センターの設立にむけて奔走、現在センター長 38歳。